日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会第71回研究発表大会
セッションID: A4-04
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物に対する同情と印象への影響
価値が低いとされた物に人は同情するか
*遠藤 柊奈桐谷 佳惠
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抄録

弱者に同情し,応援・支持したくなる心理効果(アンダードッグ効果)は,生物でない対象に対しても,生物らしさが感じられれば生じることが明らかになっている。本論文は,生物らしさが与えられていない物がある基準において価値が低いとされた場合に,同情を引き起こすか,そして同情により良い印象が生じるか,実験により検討したものである。

実験は,抽象的な立体物について「検品をクリアした,使えるもの」(クリア群),「検品をクリアしなかった,使えないもの」(非クリア群),「まだ検品をしていないもの」(未検品群)の3種の教示の下で,実験参加者に形についての印象評価を行わせるものであった。その結果,クリア群よりも非クリア群の方が「かわいそう」と評価されやすいことが,統計的に明らかになった。その一方で,全ての参加者は「かわいそう」の評価基準として「検品をクリアしたかどうか」を挙げなかった。これらのことは,人はある基準において価値が低いとされた物に,無自覚のうちに同情することを示唆している。しかし,同情により「好きな」などの良い印象が生じることは確認されなかった。原因として,同情の程度が弱かったことなどが考えられる。

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