抄録
日本におけるインダストリアルデザイン(Industrial Design)を取り巻く状況は、第二次世界大戦の前後で劇的に変化した。近代国家における産業振興の確立に、デザインは重要な位置を占めていた。しかし、それにもかかわらず、日本国内における「デザイン」の位置は、決して理想的な状況とはいえなかった。 以上は2010年の博士論文「職能集団組織としてのJIDAの生誕と活動に関する研究 ─1960年代までのJIDA機関誌を手がかりとして─」において述べたことである。 デザインという仕事やデザイナーという職業は戦前より日本にもあった。しかしそれは絵描きや技術者とどう違うのか、社会がそれを認知しておらず、またデザイナーの側でも検討が繰り返されている状況だったようだ。 1950年代、大戦に敗れた日本は、町や産業の復興が急務とされていた。そんな時代に行われた、デザイナーが関わったいくつかの事例を紹介する。