主催: 日本デザイン学会
会議名: 日本デザイン学会第73回研究発表大会
回次: 73
開催地: 千葉工業大学 津田沼キャンパス
開催日: 2026/06/12 - 2026/06/14
有人宇宙活動の目的が「生存」から「生活」へと転換する中、身体的・精神的・社会的な「宇宙QOL」の向上はデザイン学の喫緊の課題である。しかし、微小重力環境は1G下の物理法則を前提とした既存のデザイン理論が適用できない「未経験の文脈」であり、デザイナーとユーザーの双方に経験知が欠如している。
本研究は、中川(2025)の物理的・機能的原則と、尾登(2011)の身体的・感性的アプローチを継承し、Buchanan(2019)の「デザインの4つの秩序」を理論的枠組みとして用いることで、微小重力下におけるデザイン領域の体系的な検討を試みた。先行研究が主眼を置いたプロダクトや空間(第1・第2の秩序)の知見を基盤としつつ、本稿ではそれらを活動(サービス)や社会組織(システム)といった高次の領域(第3・第4の秩序)へと拡張・統合した。 結論として、微小重力下の物理的制約を「重力からの解放」という新たな価値へ転換するデザインの可能性を論じた。本研究は、未知の環境における生活システム全体の設計に向けたデザイン学の新たな地平を拓く「先行思案」としての意義を持つ。