デザイン評価をデザインプロセスの観点から捉えたあり方を提案する。アンケート調査の結果から,次の点が示された。「デザイン評価はデザイナーが各種の意思決定を行うにあたって必要な情報を提供する」という評価と意思決定を分離した本稿の定義と,デザイン評価は協同作業であるという主旨が支持された。さらに,発散から収斂への過程でデザイン評価が行われるというもうひとつの仮説に対して,モックアップの選別やアイデアスケッチの検討という収斂過程では認められた。しかし,デザインプロセスの川上のデザインコンセプト作成という収斂過程での認識は明確には示されなかった。多くのデザイナーがデザイン評価と認めているモックアップの選別とアイデアスケッチの検討過程において,ファジィAHPを用いた測度論的方法と,直交配列にもとづいた数量化類によるプロセス論的方法の2つの新しいデザイン評価法を提案した。実際の事例を通じてその方法の有効性をある程度検証できたと考える。