抄録
アイソタイプは, オットー・ノイラートによって考案された視覚教育のための体系である。それゆえ, アイソタイプを理解するには, アイソタイプは, まず体系として把握されなければならない。本稿ではその試みの一つとして, アイソタイプの文法的規則に着目し, 考察を加えた。規則の考察を, アイソタイプがシンボルの表現形式, 絵の表現形式, 数量の表現形式という三つの表現形式から成り立った体系であるという想定の下で進め, これらの表現形式の中で文法的規則が示している基本的な制約的傾向を抽出した。文法的規則の制約的傾向は, 三つの表現形式を相互に関連づけ, 統合化する拘束力として機能しており, 結果として, 多様な情報様式に, 効率的に同時に対応できるアイソタイプの統一的な表現形式を実現していることを示した。最後に, このようなアイソタイプの表現形式の特徴が, ノイラートの啓蒙活動の要求を反映した独創的なものであることに言及した。