デザイン学研究
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被災児童の心のケアに向けた復興絵馬プロジェクトの効果
―仙台市立七郷小学校における7年間の取り組み
近藤 祐一郎亀崎 英治篠原 良太森田 健一袋地 知恵
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2020 年 67 巻 2 号 p. 2_31-2_40

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抄録

本研究の目的は東日本大震災を被災した児童の「心のケア」に向けて開発した総合学習単元「復興絵馬プロジェクト」の実践を行い、その効果を検証することである。本研究から得られた知見は次のとおりである。①児童への授業評価より「願いの表現」は8割以上の児童から、「授業の楽しさ」は9割以上の児童から積極的回答を得、達成感や満足感の高まりを確認した。②児童は友人が制作した復興絵馬を鑑賞し「感激や感動」を受け、願いや人には多様性があることに気づき、児童同士の共有感が高まった。③児童の願いを地域に発信した結果、好意的な受け入れや発展的な拡散が見られたため地域帰属貢献意識の高まりに繋がったが、ウェブサイトによる発信には改善が必要である。④授業前の「面倒、不安な気持ち」という消極的意識が、授業後には「楽しい、良い」という積極的意識へと変化した。

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