デザイン学研究
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最新号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 磯野 誠
    2020 年 67 巻 2 号 p. 2_1-2_10
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/10/05
    ジャーナル フリー

    革新的な製品アイデア創出のために近年注目されるものに,ビジョニング,すなわちある未来の状態を想像した上で,それを実現するための製品アイデアを考えるようなアプローチがある。本研究はそのビジョニングについて,創造的認知研究で議論される想像の知見に依拠し,その認知プロセスの説明を試みた。13の事例を対象とした定性事例研究から,次の知見を導いた。ビジョニングとは,ビジョンの想像と,そのビジョン実現要素としての製品の想像という2段階の想像の過程によって,そしてそれぞれの想像における概念の組み合わせ試行によって,革新的な製品アイデア創出に貢献するものと考えられる。そしてその製品アイデアの革新性とは主に,①製品想像の際に選択されるビジョン,そのビジョン想像の際に選択される,②開発者にとっての希望的要素,特にそれがどれ程外部情報に依拠したものか,③未来の状態,特にそれが未来の企業の状態よりも市場の状態であるか,これらよって導かれることが考えられる。

  • -内発的地域活性化をめぐる地域通貨の再検討(1)
    孟 晗, 植田 憲
    2020 年 67 巻 2 号 p. 2_11-2_20
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/10/05
    ジャーナル フリー

    本稿は,全国の地域通貨の運営主体を対象にした質問紙調査を通して,近年の日本の地域通貨の実態を把握することを目的としたものである。調査・考察の結果,以下の知見を得た。(1)近年の日本の地域通貨は従来の概念から超越し,多様なかたちが定着している。一方,それらの多数は価値判断の指標が国家通貨と変わりがなく,市場経済の下で派生した地域経済振興の一手段に過ぎない。(2)内発的発展論の観点に基づき、類型化を行うことにより,日本の地域通貨は5つに分類することができる。(3)「コミュニティ協働内発型」地域通貨は参加者が有する能力を活かすことができ,かつ価値判断を自由に行うことができるため,参加者は「消費者」であることから解放され,「生産・消費者=生活者」として生きる姿を取り戻す可能性を与えられる。(4)同類型の地域通貨の運営団体は,多様なイベント・プロジェクトを開催し,その過程で当該地域の潜在的資源を再認識し利活用することに寄与する。なお,参加者が共通する価値観を醸成し,地域内の新たなネットワークを創生させ得る。

  • 伊藤 孝紀, 吉田 夏稀, 杉戸 亮介, 西田 智裕
    2020 年 67 巻 2 号 p. 2_21-2_30
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/10/05
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,都市生活に着目し,暮らしと仕事の両側面より,日本におけるクリエイティブクラスの実体を把握することである。
    日本における, クリエイティブクラスの実体を明らかにするため, クリエイティブクラスが従事する職業の特徴を把握する。次に, 暮らしおよび仕事に関する29 アイテム240 カテゴリーを設定し, クラス毎の比較をおこなった。また, 暮らしおよび仕事にみる評価と重要度の設問を設定し, 重要度における潜在因子を抽出した。
    職業はスーパークリエイティブ・コアにおいて情報処理・通信技術者, クリエイティブ・プロフェッショナルにおいて法人・団体管理職員が最も高い。属性, 年収と勤務先, 住宅およびオフィスにみる建築, 住環境および仕事環境, 手段, 趣味などのライフスタイルに関する指標を設定し, クラス毎の特徴を把握した。重要度における潜在因子の抽出により, 第1因子「快適性」, 第2因子「連係性」, 第3因子「品等性」を抽出した。

  • ―仙台市立七郷小学校における7年間の取り組み
    近藤 祐一郎, 亀崎 英治, 篠原 良太, 森田 健一, 袋地 知恵
    2020 年 67 巻 2 号 p. 2_31-2_40
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/10/05
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は東日本大震災を被災した児童の「心のケア」に向けて開発した総合学習単元「復興絵馬プロジェクト」の実践を行い、その効果を検証することである。本研究から得られた知見は次のとおりである。①児童への授業評価より「願いの表現」は8割以上の児童から、「授業の楽しさ」は9割以上の児童から積極的回答を得、達成感や満足感の高まりを確認した。②児童は友人が制作した復興絵馬を鑑賞し「感激や感動」を受け、願いや人には多様性があることに気づき、児童同士の共有感が高まった。③児童の願いを地域に発信した結果、好意的な受け入れや発展的な拡散が見られたため地域帰属貢献意識の高まりに繋がったが、ウェブサイトによる発信には改善が必要である。④授業前の「面倒、不安な気持ち」という消極的意識が、授業後には「楽しい、良い」という積極的意識へと変化した。

  • 島倉 瞳, 坂田 勝亮
    2020 年 67 巻 2 号 p. 2_41-2_48
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/10/05
    ジャーナル フリー

    顔の色や質感などの視覚的な情報は,円滑な社会的コミュニケーションを取るうえで重要な役割を演じているといわれており,これらをコントロールできる化粧は現代社会においてますます重要性を増している.このため人の印象に寄与する顔の外観の心理物理的な特徴については,多くの検討が行われてきた.均一な色票とは異なり顔には部分的に明るさや色みの変化があるが,先行研究では顔の特定の部位や肌領域全体の平均値などが代表値として用いられている.そこで顔色知覚の特性を明らかにすることを目的として,東アジアにおいて理想的な肌状態の一つとされる美白感に対し,額,目元,頬の各部位に表れる情報と,顔全体を表す3部位を平均した情報が果たす役割を検討した.日本人女性の平均顔画像を用いて美白感の測定を行った結果,特定部位の優位性はみられず,美白感は各部位の平均値に基づく感覚であることが示された.この傾向は顔の色,参加者の肌への関心,顔に付与したノイズによって変わらなかったことから,美白感とは個人的な嗜好や関心等に左右されない一般的な知覚であることが示唆された.

  • ―平成30年度に実施した長岡造形大学大学院「地域特別プロジェクト演習」における実施者同士の振り返りから
    近藤 祐未, 板垣 順平, 渡邉 誠介
    2020 年 67 巻 2 号 p. 2_49-2_56
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/10/05
    ジャーナル フリー

    大学による地域連携活動は、いまや自明の理となっている。とりわけ、学生が主体となった活動は、自治体や企業も注目しその成果も期待されている。一方で、活動の主体となる学生にとっては成果だけでなく、自身にとっての経験や達成感、自信、スキルなど、活動を通して何を得られたか、が重要となる。しかし、地域連携活動に関する既往研究の多くは、活動終了時に実施される単発的な振り返りやアンケートをもとにその学習効果について議論されたものが多く、長期的な視点による地域連携活動の学習効果について分析・検討されたものはみられない。
    筆者自身が取り組んだ長岡造形大学大学院の「地域特別プロジェクト演習」では活動を進める時々に、辛いやしんどいといった意見が多くあったが、活動が終了してからしばらく経ってからの何気ない会話では、その印象や捉え方に変化がみられた。
    そこで本研究では、「地域特別プロジェクト演習」を研究対象として、実施者である学生の視点から活動の記憶や印象を手掛かりに、省察の変化の過程について検討し、その変化の要因を明らかにすることを目的とする。

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