デザイン学研究
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パターン・ランゲージ関連史料の史料分析
―パターン・ランゲージの誕生 (2)
古川園 智樹
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2021 年 68 巻 1 号 p. 1_49-1_58

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抄録

 本論文では,パターン・ランゲージの理論的・哲学的背景を探るために,クリストファー・アレグザンダーの博士論文時代の研究史を中心に,世界各地のアーカイブ史料の調査・収集して,それらの史料の分析を行った。その結果,以下の新事実が明らかになった。(1)アレグザンダーは1959年8月には,コンピュータを利用したデザインを開始していた。(2)『コミュニティとプライバシイ』のコンピュータを利用したデザイン・プロセスを執筆したのはアレグザンダーである。(3)アレグザンダーは1960年末に博士論文を一度提出している。その後,審査委員をジェローム・ブルーナーに変更して,1962年11月に最終的に提出している。(4)アレグザンダーが使用したMITのコンピュータは,1960年9月にはIBM704からIBM709に,1962年1月にはIBM7090に変更された。(5)アレグザンダーはベイエリア高速鉄道の駅を「セミラティス構造」でデザインを行う予定だった。このプロジェクト自体は未完であったが,UCバークレーの学生達が,同様の手法でデザインを行っていた。これらのことから,アレグザンダーが提案したコンピュータを利用したデザイン手法・理論を,Type1(オーバラップ構造),Type2(ツリー構造),Type3(セミラティス構造)の3つに分類した。

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© 2021 日本デザイン学会
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