2022 年 68 巻 3 号 p. 3_43-3_52
本研究の目的は, 三浦半島における事例研究を通じて, 観光まちづくりに有効なデザイン・ワークショップのモデルを提案することである. そこで, 一般的なデザインプロセスに基づいて「観光まちづくりにおけるデザイン・ワークショップの仮説モデル」を作成し,ワークショップを実施した. 一般的なデザインプロセスでは, 「ターゲット設定」が最初のステップになることが多い. しかし, 観光まちづくりの場合は,「地域の問題定義と資源の整理」というプロセスがターゲット設定に大きく影響する.観光まちづくりにデザイン・ワークショップを応用する際には, 「ターゲット設定」「地域の問題定義と資源の整理」「観光コンセプトの創造」を繰り返し, 最適な三位一体の関係を考えるという特徴的なプロセスをたどることが明らかになった. この特徴を踏まえて, 仮説モデルを一部修正し, 観光まちづくりに有効だと考えられるデザイン・ワークショップのモデルを提示した.