デザイン学研究
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習慣化に関する主体的行動に着目した経験価値変化モデルの提案
堀川 将幸藤村 諒佐藤 浩一郎寺内 文雄
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2022 年 68 巻 4 号 p. 4_45-4_54

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抄録

 本稿では,精神的充足に向けたデザインを行うための指針を導出することを目指し,習慣化に関する主体的行動を対象とした精神価値の成長要因を明らかにしている。具体的には,まず,ハマるに至るきっかけから定着化するまでの習慣化に関する主体的行動を調査し,その経験価値の変化の特徴を分析し,これらの結果に基づいた経験価値変化モデルを提案している。次に,習慣化,定着化に至った主体的行動の事例を対象として,評価グリッド法とクラスター分析を実行した。その結果から,習慣化に関する主体的行動における精神価値の成長に起因する4つの心理状態「高揚感」「平穏感」「好奇心」「向上心」が,価値実感期,価値成長期,価値定着期の3期において変化し,定着化するプロセスを示している。また,各状態の具体的な成長要因として,価値実感期での感動体験や潤沢な体験,価値成長期での共同体験や上達体験,価値定着期では日常化体験や到達体験を導いている。さらに,これらの成長プロセスの変遷を考察することで指針構築の一助とした。

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© 2022 日本デザイン学会
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