デザイン学研究
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透析装置の技術とモジュールデザインの歴史
─透析装置デザインの歴史と将来の透析装置デザイン(1)
谷口 武司小野 健太渡邉 誠
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2022 年 68 巻 4 号 p. 4_55-4_64

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抄録

 透析装置の開発は、患者への安全で快適な治療の提供と医療従事者の負担軽減が目的であった。その実現のためには、技術のみならずデザインが果たした役割が大きい。本稿では透析装置デザインをモジュールの組み合わせととらえ 50 年間のモジュール変遷を検証した。初代の透析装置は 7 モジュールで始まった。人工腎臓であるダイアライザー、血液が循環する血液回路、透析液原液が入る原液タンク、透析液を生成する透析液調整部、設定を行う操作部、治療や設定状況を確認する表示部、これらを制御する電装部である。モジュールは小型化され統合されるものもあれば、高機能になり大型化するモジュールも見られた。さらに、あまり変化が見られないモジュールもあった。透析装置デザインに大きな影響があった変遷として、日本独自のモジュール方式が出現したこと。血液回路とダイアライザーが量産化され小型化が進んだこと。表示部と操作部は一般技術の影響を受け大きく進化したこと。電装部と透析液調製部は筐体容積の大部分を占めており、それらの構成は初期から現在まで変化が無いことなどがあげられる。

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