2025 年 71 巻 3 号 p. 3_1-3_10
現在動物園が発行する将来計画について動物園同士が相互に評価できる客観的指標がなく、各園が独自性を十分に持てず運営している点を課題とし、将来計画と、動物園が掲げる種の保存、教育・環境教育、調査・研究、レクリエーションの4つの役割の関係性に注目し、今後動物園運営において将来計画を考える上で必要な指針を導出することを目的とする。文献調査より、来園者数上位10の公立動物園のうち、福岡市動物園のみが来園者目線の共感されるコンセプトがなく、具体的な行動案が提示されていなかった。これを踏まえ、フィールド調査として本園を事例とし、飼育員を包括した共創型ワークショップを実施した。その結果「飼育担当職員が考えるまた来たくなる動物園計画(案)」を作成し、来園者、職員、他動物園関係者による評価を実施した。最後に、今後動物園運営において必要な指針として、①飼育員の視点から将来計画を考える、②ステークホルダーの関係性を明確化する、③具体的な行動案を提示する、④具体的なサービス内容を提示する、の4つを提案した。