目的 : 良質な介助犬を安定的に育成するためには、使用者の障害・疾患ごとにどのような費用がどの程度発生するのかの予測は重要である。本研究は、介助犬にかかる費用の使用者の障害・疾患別の推計を目的とする。
方法 : 胸腰髄損傷、頚髄損傷、リウマチの3つの障害・疾患について、それぞれモデルケースを設定し、介助犬訓練事業者を対象としたアンケート調査および聞き取り調査をもとに、介助犬の一生にかかる費用項目を積算し、推計した。
結果 : 各モデルケースごとの介助犬の一生にかかる費用は、胸腰髄損傷 : 約388万円~458万円、頚髄損傷 : 約411万円~481万円、リウマチ : 約470万円~539万円と推計された (非適性犬にかかった費用を含まない)。
考察 : 障害・疾患によって費用が変化する要因としては、訓練期間の長期化、自助具の作成費用、継続指導の頻度の相違などがあげられる。今後、使用者のニーズごとの訓練メニューを整備していくことが重要になると考えられる。