抄録
科学教育に対して, 最近, 環境教育, STS, 情報化(コンピュータの活用), 科学的基礎能力, 創造性, 多様化等多彩な要請が寄せられるようになってきた. これは科学と社会の関連がこれまでになく深くなり, 科学の多面性が増大したこと, すなわち「科学の社会化」から派生していると考えられる. また, 科学哲学の進歩等の影響も見逃せない. 科学教育は科学・哲学・社会から深く広く挑戦を受けていると言えよう. この小論では, この問題を, 人々の意識の変化, カリキュラム変革, 科学哲学, 認知論, 科学の変化, 科学の社会化, 科学と国家・社会との関係, 科学の価値等の分析を通して考察する.