抄録
「運動物体(飛行機や電車など)からの物体の落下」事象における,子どもの認識および合理的(科学的)な推論の特性を明らかにするための調査を実施した.その結果,第1に運動物体の系内にある物体に対する「動いている」「速さを持っている」という動的な認識と,第2に事象や状況ごとのその場限りではない「外(地上)の系での統一的な解釈」が,合理的な推論の要因として明らかになった.そこで,さらに子どもたちが「外(地上)の系と内(手元)の系で同時に」解釈できる新しい事象として「エスカレーター課題」を設定し,子どもの認識および合理的(科学的)な推論の特性についての調査を実施した.