抄録
通常の教授活動の補足として宿題や補習などを実施する際,どの復習課題を抽出したらよいかといった判断は,教授者の経験によるところが大きい.そこで,演習やテストの結果から適切な復習課題を抽出する手法がすでにいくつか提案されているが,これらの先行研究では,課題習熟度を当該テスト項目(テスト問題)の平均正答率などで表現していた.しかしながら,理解過程において不安定要素を抱えた学習者の課題習熟度をあるひとつの数値で代表するのは無理がある.さらに,学習者による学習内容の構造的理解という観点に立てば,復習課題の抽出においても,教材構造が加味された形で行われることが自然であると考えられる.そこで,本稿では課題習熟度を三角型グラフで記述しかつ教材構造を反映させ,それをもとに復習課題を抽出する手法を提案する.