抄録
わが国の科学教育においては, 科学という営みの背景にある思想について顧みられることが少なかった.本論では, 科学論的内容を重視したカリキュラム, 教材開発の基礎段階として, 現行の科学教育によって, 学習者にどの様な科学観が身に付くのかを, 大学生を対象として調査を行った.その結果, 文科系・理科系を問わず観察, 実験, そして科学という学問を, 経験論的なものと解釈している者が多いことがわかった.また, 文科系については, 科学技術に対する認識や科学的に探求する態度などの点で問題があることがわかった.