最近科学社会論では、しばしば、従来の自律的な科学者集団という見方が必ずしも妥当せず、社会との関わり(科学研究の方向付け)や研究スタイルも変化しつつあることが指摘される。実際にアカウンタビリティやレリバンス、社会的ニーズ、市場といった言葉がよく聞かれる。実はこうした傾向は高等教育論においても見られる。いずれも閉じた知識生産伝達システムへの疑念といえよう。これらの議論は、科学・高等教育と社会とを媒介し、それらを方向づけるメカニズムは何かという問題に至るものと思われる。こうした観点に関連して科学教育の課題を考えてみたい。