抄録
日本でも開発途上国に対する援助やボランテアが色々な場面で話題として取り上げられることが多くなった。そうした開発途上国の多くは農業が産業の中心であり、住民に焦点を当てると、そこには小規模社会の開発の必要性が前面に出て来る。その視点から言うと、従来の経済主体の開発は、農業を生活の糧としている人々に、多大の弊害もたらした。国家規模ではGDPの増大が見られるにも関らず、多くの住民の生活の向上が見られず、社会格差だけが広がるという皮肉な現象がみられた。産業の発達や工業化がすぐさま貧困の解決につながらなかったのである。これに対して、環境保全、独自な文化の保持、貧困の解決といった、住民のニーズに合致した活動や、社会資本の整備のような住民本位の開発には、NGOが蓄積して来たノウ・ハウや、小回りのきく活動が極めて有効であることが認められて来た。ここでは、開発途上国の抱える諸問題、特に、社会開発の問題について、NGOが行っている活動とその目的について述べる。