日本臨床外科学会雑誌
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症例
急性腹症を呈した小腸腸間膜デスモイドの1例
赤羽 慎太郎河内 雅年福田 三郎先本 秀人江藤 高陽西田 俊博
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キーワード: デスモイド, 穿孔, 膿瘍
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2013 年 74 巻 2 号 p. 420-425

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抄録

症例は48歳男性,心窩部痛を主訴に近医受診.CTにて小腸に腫瘍性病変を指摘され,当院紹介受診となる.身体所見では心窩部付近に筋性防御・反跳痛を認め,血液検査で炎症反応の上昇を認めた.造影CTではTreitz靱帯近傍の小腸もしくは腸間膜由来と思われる,約8×8cm大の充実性腫瘍を認め,痛みが著明であり緊急手術を施行した.腫瘍は超手拳大で小腸腸間膜内に存在しており,小腸を約80cm合併切除した.腫瘍の大きさは10×8×8cm大,周囲との境界はやや不明瞭な線維性腫瘤を形成しており,術後病理所見で小腸腸間膜原発のデスモイドと診断された.腫瘍の浸潤した小腸の微小穿孔も確認され,今回の疼痛の原因と考えられた.術後経過は良好で,術後18日目に軽快退院,術後9カ月で再発を認めていない.腫瘍内に引き込まれた小腸の微小穿孔により急性腹症を呈し,緊急手術を要した小腸腸間膜デスモイドの1例を経験したので報告する.

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© 2013 日本臨床外科学会
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