抄録
義務教育終了段階近くの中学校3年生の生徒が,「理科」と「科学」ということばをどのように理解し,使い分けているのかを探ることを目的とし,質問紙法を用いてその調査を行った。その結果,被験者の65%が『理科と科学は同じところもあるが,違うところもある』という回答を寄せた。自由記述文からは,『理科が科学に含まれる』とする生徒は非常に少なく,逆に,『科学は理科の一部である』とするものが多かった。SD法を用いての調査結果からは,多くの生徒が,「理科」と「科学」の捉え方に対してほぼ妥当な考え方をしていることがわかった。また,「科学」に比べて「理科」の方が,圧倒的に『親しみがあり,好きだ』という応答結果であった。