日本科学教育学会年会論文集
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1PF-11 高校生物教育のためのトノサマガエルの発生過程における消化管の形態変化に関する研究
中村 丈志舟木 賢治
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p. 259-260

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抄録
高校生物の教科書は、生物種間の共通事項に着目して編集されており、各分野は難易差が無く、並列的に記載されている。このことは、どの分野からでも取り組むことができるという長所がある一方で、各分野の結びつきが弱いという短所もあり、これを克服する教材が必要である。トノサマガエルの消化管は、幼生期から変態期にかけて長さが約1/10に短縮し、食道・胃・腸へと分化していく。この過程は、簡単な解剖の実施により、順を追って観察することができる。さらに、組織標本を光学顕微鏡で観察することにより、形態形成の過程を細胞学的・組織学的に理解することができる。また、トノサマガエルは、ヒトと同じ脊椎動物であり、器官の分化においては共通点が多く、一般的な消化管の構造と機能の関係を認識できる。さらに、その構造は変態に伴う食性の変化と対応しており、「生態系」などの他分野で話題に挙げることもできる。このように、トノサマガエルの消化管を用いれば、高校生物の多くの分野を有機的に結びつけることが可能である。
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© 2002 日本科学教育学会
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