抄録
本研究は、一般成人における義務教育修了後の理科学力の剥落について検証することを目的とする。分析の視点として、他教科学力との比較、性別、年齢群別、理科知識内容の有用感について取り上げた。その結果、以下の点が明らかとなった。①義務教育段階で学習した理科の知識は、他教科の学力と比較し、最も保持しがたい学力の一つである②女性は義務教育段階修了後、男性と比較して理科知識を保持しない傾向がある③いずれの年齢群においても、理科知識は保持されない傾向がある。但し、高年齢層において喪失が特に大きいという傾向はみられない。④理科知識の有用感が高い群については、理科知識の剥落が見られない。