本稿は、アメリカの算数・数学教育における創造性の育成について、改革的なカリキュラムと伝統的なカリキュラムという視点から検討を行うものである。NCTMスタンダード以降の改革的なカリキュラムでは、創造性を育成するような算数・数学のプロジェクトや課題が設定されていた。一方、伝統的なカリキュラムを実施しているユタ州の「才能豊かな児童・生徒に対する特別な方策」の実践例の検討から、①小学校段階では習熟度別クラス編成が行われていない、②選抜クラス(Pulled out class)の授業は従来的な算数の授業とは別に設定されている、③選抜クラスの目的は創造性などの一般的能力の育成を図るところにある、などの知見が見いだされた。