抄録
自然史系博物館の多くは,展示やレクチャーによる教育普及活動のほかに,資料の収集やそれに基づく研究活動を行っている.だが,資料収集や研究は地道な活動であるため,一般から注目されることは少ない.資料を多く収蔵する博物館では,資料のごく一部が一般向けに展示されているにすぎず,残りの多くは,研究者による研究利用などのほかには,バックヤードに保管されて日の目を見る機会が与えられずにいる.資料の状態を保って維持することは,博物館活動の正しい姿である.しかし,博物館が所蔵する資料は紛れもない本物であり,科学教育の教材として大きな可能性を持っている.博物館と学校が連携して,収蔵資料を活用した教育活動を展開できれば,理科教育の質の向上につながるのみならず,博物館にとっても,地域の科学教育の拠点となり得るという可能性が開かれる.博物館と学校の連携活動を行う上での最初の問題点は,学校教員は博物館にそのような教育資源が眠っていることを知らず,博物館の側では教育現場のニーズを知らない,という相互の無理解にある.(財)日本モンキーセンターでは,「動物園を利用した教員研修会」などの連携活動を通じて,教育現場との意思疎通をはかり,所有する教育資源の活用を進めている.