抄録
授業は科学か芸術かと問うと、芸術だという回答が多く見られるように思われる。授業が芸術であるということは、授業が教師の個人的な技に依存し、熟練によって上達していくが、生まれながらの感覚に強く依存しているということなのであろう。たしかに、授業にはこのような部分があるに違いない。しかし、教員養成に携わるものとしては、授業には原則があり理論どおり行えば経験の少ない新米教師にも最低限の授業が可能であるものでなければならないのである。すなわち、授業の中心的な部分は科学なのであり、芸術は周辺のデコレーション部分であると考えるのである。では、「授業を科学する」ということはどのようなことだろうか。理論研究と実践研究はどのように関連させて進めればよいのだろうか。科学の性格を参照しつつ、科学の立場から授業実践と実践研究を読み解くことを試みる。授業を科学として実践するための考え方を理論と実践の両面から議論してみたい。