抄録
本論は遺伝子組換え技術の利用に対する理解と判断を含めた中学3年生の遺伝の授業の教育的効果を検証したものである.効果は,意思決定能力の育成に焦点をあて,メダカへの遺伝子組換えに関する情報に対する生徒の関心と判断の変容から分析した.授業の実施により,生徒に次の変容が見られた.1)遺伝子組換えの情報に対しては生徒の関心が高まり,関心を持つ理由を記述できる生徒が増えた.2)技術者や販売会社の行為に対しては,一面的な善悪の判断から多面的な判断への変容が見られた.3)遺伝子組換え技術に対しては正しい利用への期待が増大した.