抄録
LPS(The Learner's Perspective Study)における日本の3クラスのデータの中から,本稿では,自力解決場面が授業の中で重要な役割を果たしていたクラス(J-1)に焦点を当てて,2名の生徒の数学的意味構成の様相を探っていく。授業中,どちらの生徒も,自分の疑問を他者とのやりとりの中で解消したり,考えを伝達したりする中で,自らの数学的意味構成を行っていた。両者の活動は,彼らのよい授業のイメージと整合的であった。また,どちらの生徒においても,自力解決場面が,クラス全体での話し合いに参加する上でのベースを作る時間として機能していた。