抄録
本研究の目的は,幾何学化を伴う数学的モデル化教材の指導計画へ位置づけ方やその配慮を明らかにすることである。そのために,数学的モデル化過程における幾何学化における「見えない線をかくこと」の困難性に着目し,見えない線をかかなくても幾何学化できるような数学的モデル化教材「傘を差す動きについて考えよう」において生徒の幾何学化の過程を分析した。その結果,目に見えている題材でも,初期の段階では探究の目的に応じた幾何学化が困難であること,異なる幾何学化について議論することで,課題意識の高まりとともに,幾何学化の際に何を残し,何を捨象すればよいかを理解していくことなどを明らかにした。この実践における生徒の実態や先行研究をふまえて,幾何学化を含んだ数学的モデル化教材の枠組みの検討を今後実践する際の教材の配列に着目して行った。