抄録
本研究は,理科教育にほとんど無関係に語られているキャリア教育を融合することを試みる。特に,身近な職業に携わっている社会人講師による授業を理科で行い,キャリア教育に与える影響の調査を報告する。実践I(作業療法士の活用)では,学習内容に対して職業の知識を構造的に位置づけできることは明らかになったが,結びつきが薄かった。また,社会人講師側は生徒の学習内容の理解の様子が掴めないという課題も残った。これらの課題を改善する手立てとして,実践II(農家の活用)では,生徒の書いた学習単元内容の概念地図を参考に,社会人講師が講話内容の概念地図を作成することを試みた。結果,職業の知識をより学習内容と関連づけることができた。また,勤労観・職業観の育成にもつながった。