抄録
理工系大学に設置されている教職課程では、高校工業、高校理科、中学理科、学科によっては数学、情報などの教員免許が取得可能であるが、2000年度の免許法改定による負担増から、小規模校では、より負担の大きい中学免許取得コースを廃止したり、中には教職課程そのものを廃止したケースもみられる。他方、一部の大規模総合大学における専門学部の教職課程、特に中学校免許取得が可能な大学では、本来の所属学生の履修率は低下しているが、卒業生や学外からの科目等履修生の占める割合が増える傾向にある。これら科目等履修生の出身母体は、必ずしも理工系学部であるとは限らず、文系学部の卒業生で、中学社会や高校地歴、高校公民の免許所持者が履修登録する場合もあり、このようなケースでは、法定の最低履修単位だけで、形式的に理科免許を取得しても、実際に中学・高校、特に高校で教える教科内容の専門知識を修得することは困難で、免許取得後の再教育が不可欠である。