抄録
昨年度からの研究に引き続き、デジタルコンテンツのポジティブな面を化学的視点から探り、その化学教育的新規性を科学技術振興機構の「理科ねっとわーく」に見出すことを試みた。高校化学分野「混合物の分離」における「赤ワインの蒸留実験」で、「理科ねっとわーく」を実際の実験とともに用いて行う授業(実験群)は、どの程度の効果があるのか、どのような成果が期待できるのかについて、実際の実験と板書による授業(統制群)との学習効果の比較検証を行った。検証の方法として、教育統計ソフトで分析する方法を用いた。結果は、「知識面」、「情意面」とも両群間に有意差は認められなかった。しかし、事前・事後アンケートのそれぞれの項目の平均点の差を比べると、実験群より実験群の方が事後アンケートの平均点が伸びていることがわかった。