本研究は、科学館に関する新たな評価手法の開発に向けた学際的共同研究の一環として、科学館体験に関する個人の長期記憶を多面的・体系的に捉えようとするものである。(a)科学館職員、(b)一般の大学生、(c)一般の高齢者、の3群を対象に、もっとも記憶に残る科学館体験の思い出についての調査を実施し、記憶特性質問紙を用いてその特性を明らかにするとともに、調査参加者の群間比較を行った。その結果、記憶特性質問紙を構成するいくつかの因子において群間に差異が認められ、科学館体験に関する記憶特性が調査参加者の類別によって異なるパターンを示すことが明らかになった。