抄録
小中高校を通じて,大多数の子どもたちは理科学習を見限り,その後,科学への関心が低い市民となる。次世代の科学力を高めるという崇高な目標と現実とはあまりに乖離している。科学に関心を持ち,学び続けようとする一般市民を育成するのは理科教員の責任に他ならない。この深刻な現状が直視できず,受験圧力,多忙さ,資源不足,研修機会の不足等々を口実に改善に取り組まない教員の変革が最も重要である。理科の教師教育機関(教育学部,理工学部,学協会等)が核になり,行政や企業を巻き込んで,変革を牽引することが求められる。