抄録
2011年3月に起こった福島第一原発の過酷事故の衝撃によって生じた諸問題に対し、これからの科学教育に何が求められるかについて、STS 教育および科学論の視点から考察した。原子力技術や放射線のリスクについて、専門家に依存するのでなく主体的に意思決定できるような知識と考え方を身につける必要があることが明らかになった。また、原子力技術を、科学的技術的な視点のみならず、人間の倫理の観点から見る必要があることが示された。さらに科学論的な視点から、近代化のパラダイムの危険性、および科学と民主主義の問題が提起される。