抄録
本研究の目的は、あらゆる言語行為は個的な位相、社会的な位相のいずれにおいても、その原初に対話への参与を志向している、という認識論を採用し、教育という研究のフィールドに内包されている数多の対話の様相を捉えていくことである。我々は成員にとって既知の情報を敢えて聞く、という特質をもった問いと、あらゆる成員にとって未知の対象に対峙させる問いとは、一方が、対話に拓かれており、他方が、閉じられてるという二項対立的な関係にあるのではなく、探究とは既知への省察と、未知への挑戦との間の絶えざる往還であり、どちらに探求の始点が位置づけられようとも、両者はいずれも対話的過程への参与に絶えず拓かれていることを論じた。