抄録
本研究は,文系学生と理系学生を対象としてその科学的思考力の比較をおこなうことを通して,それぞれの進学過程によって思考力にどのような違いがあるのかを考察することを主な目的としている。これにより彼らが受けてきた教育課程によって身につけてきた学力を比較することのみならず,特に小学校教員を目指す文系の学生自身が理科授業を構成するための視点を明確にするための示唆を与えることができる。これらの調査の結果,文系学生には見られない理系学生特有の誤答があることがわかった。また,これらの誤答を含めた多くの予想を分析することで,児童の予想を事前に想定するためのモデルを見出すことができた。