主催: 一般社団法人 日本科学教育学会
会議名: 日本科学教育学会第40回年会 大分大会
開催日: 2016/08/19 - 2016/08/21
有精卵の孵卵から実際に雛が誕生することを経験的に確認させるため人工孵卵実験を行ったところ、生徒達は生命の連続性や生命の神秘を体感し生物学的知識の拡張がみられた(奥村・熊野,2016)。ただ雛の誕生には至らなかったため、生徒達の強い希望によりさらに雛の人工孵化を目指したプロジェクト(課題解決)型学習を継続的に実施した。これは米国の科学教育であるSTEM 教育の視点からはPBL(Project Based Learning)に該当する学習手段であると考えられる。STEM 教育の視点からはPBL(Project Based Learning)に該当する学習手段であると考えられる。
本実践では、生徒達が人口孵化を成功させるために自動転卵装置と携帯型孵卵装置のデザインおよび製作に主体的に取り組んだ。その結果、装置の開発のためのグループ学習から、様々な教科横断的思考(STEM 的思考)の深まりがみてとれた。また、雛の誕生および装置開発についての感想から、命の誕生に感動する一方、親鳥の孵卵を人間が人工的に行うことの難しさや自然の営みの緻密さなどをより一層感じていたことが読み取れた。そしてその困難を解決するために生徒達自身が考え、話し合い、1つの最適なデザインを創造していく過程において、教科横断的なSTEM の活用が見られ、またそのことを生徒達自身が気付いていたことが分かった。
このことより、プロジェクト(課題解決)型学習(PBL)の実践が、生徒達の科学的態度の育成や深化に有効な手段であることが示唆された。また次期学習指導要領の改訂に向けて検討されているアクティブ・ラーニングに繋がる取り組みであるとも考えられる。