日本科学教育学会年会論文集
Online ISSN : 2433-2925
Print ISSN : 2186-3628
ISSN-L : 0913-4476
セッションID: 2G1-A1
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発表
水中の微小生物の観察を通した生物多様性の理解と生命観育成
―中学校第1学年「水中の微小な生物」を例に―
岩間 淳子松原 静郎
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抄録

中学校学習指導要領及び中学校理科教科書における「水中の微小生物」に関連する内容と変遷を調査すると共に,教育系大学の学生を対象に「水中の微小生物」の観察実習を行い,生物観察を通した生物多様性の理解と生命観育成を検討した.昭和22 年,26 年試案では,「プランクトンの季節による変化の有様」,昭和33 年改訂では,第1学年で「水たまりの微生物」が扱われていたが,昭和44 年,昭和52 年,平成元年改訂では水中の微小生物の観察は,小学校第5学年の内容になっていた.平成10 年,20 年改訂では第1学年で「水中の微小な生物」が扱われるようになった.平成20 年改訂の教科書で扱われるプランクトンの種類数は,平成10 年改訂より平均1.4 種類増えており,ミジンコ,アオミドロ,ハネケイソウが全社で扱われていた.ミジンコは消化管や卵巣,育房などが観察しやすく,心臓の拍動や血流も観察できる.学生の観察記録には,「心臓もしっかり動いていて生き物のすごさを感じた」など,ミジンコの心臓の拍動や血流,生物多様性や生命の連続性に関する記述が見られた.水中の微小生物の観察を通し,一滴の水の中にも生命が存在すること,それらは多様性を持ち独自の方法で生命を連続させていること,またそれらの生命を育む環境を守っていくことが大切であることを伝えていきたい.

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