抄録
本稿では国際バカロレア「知の理論」(TOK)における「知識の枠組み」に着目し,理科と数学の共通点及び相違点について整理し,理数探究カリキュラムを開発する上での課題を考察した.その結果,対象とする「知識の領域」が異なる一方,文化への依存の度合いが共通していること,数学が自然現象を記述するための道具であること,両教科に共通の過程として探究活動を捉えることができる一方,知識の発達過程及び「知るための方法」が異なること,両教科が相互依存的に発展してきたこと,両教科で育てる人間性が異なることが明らかとなった.さらに,これら共通点及び相違点を包括的に捉え考察する必要性が浮かび上がった.