日本科学教育学会年会論文集
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高等学校生物における「生殖と発生(動物)」の変遷と教科書の観察,実験で扱われる生物教材
*岩間 淳子松原 静郎
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p. 469-472

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抄録

高等学校学習指導要領における「生殖と発生」の変遷及び平成20年改訂学習指導要領に基づく高等学校「生物」の「生殖と発生(動物)」に関連する編(章)の観察,実験で扱われる動物教材と内容を調査すると共に,大学生を対象に,高等学校「生物」の授業における「生殖と発生(動物)」の観察,実験の学習経験を調査し分析した.教科書の「生殖と発生(動物)」の観察,実験で,「受精,発生」では「ウニ」「カエル」「ニワトリ」「アサリ」など,「遺伝子と染色体」では,「ショウジョウバエ」「ユスリカ」などが扱われていた.高等学校における生物の学習経験に関する調査で,「生物」を履修した学生は,403名中138名(34.2%)であり,そのうち「生殖と発生(動物)」の観察,実験を経験した学生は32名(23.2%)であった.「受精,発生」の観察,実験で,「ウニ」は16.7%,「カエル」は10.1%,「遺伝子と染色体」では「ユスリカの幼虫」の唾腺染色体観察は37.7%,「ショウジョウバエ」を用いた「遺伝子交雑」は13.8%,「突然変異体」は8.0%であり,観察,実験の既習率は低かった.平成30年改訂の学習指導要領生物「生殖と発生」の内容は,「遺伝情報の発現と発生」となり,目標には「観察,実験などを行い,科学的に探究する力を養う」と記されている.高等学校生物における観察実験の充実が望まれる.

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