主催: 一般社団法人 日本科学教育学会
会議名: 日本科学教育学会第45回年会 鹿児島大会
開催日: 2021/08/20 - 2021/08/22
学業ストレスに直面した際,学生はストレスを軽減するために対処法略を適用することがある.この対処法略の一つとして挙げられるのが「価値の切り下げ」である.「価値の切り下げ」は,学業全般のストレスに対する対処法略として知られるが,これまでに特定の教科との関連が注目されたことはない.本研究では,「価値の切り下げ」が教科に依存するかどうかを明らかにするために実施した.大学生を対象とした質問紙調査を実施し,苦手な教科に対する学生の感情や行動を明らかにした.解析から,国語が苦手な学生は数学が嫌いな学生よりも「価値の切り下げ」を行う頻度が有意に高いことがわかった.一方,数学が苦手な学生は国語が苦手な学生に比べて学業ストレスを感じるケースが有意に高かった.このことから学業ストレスに対する「価値の切り下げ」が,特定の教科に対してより用いられやすく,学業ストレスを回避しやすい可能性があることが示唆された.