主催: 一般社団法人 日本科学教育学会
会議名: 日本科学教育学会第45回年会 鹿児島大会
開催日: 2021/08/20 - 2021/08/22
今日の高度情報化社会を生き抜く上で,確率的リテラシーの獲得が不可欠である.その1つの基礎的要素である文脈に関する研究が十分に蓄積されていないという課題意識の下,確率統計教材として意義深い火曜日生まれ問題に焦点を当てる.その意義の1つは,確率を求める際に文脈「火曜日生まれ」を使用する必要がある点である.教材を授業で扱う教師がこの意義を認識しておかなければならないため,本稿では数学教師を目指す大学生12名に本問題を解答させ,解答を類型化することによって,その実態を把握することを目的とする.結果として,正答者は存在せず,文脈「火曜日生まれ」を使用した学生は2名しかいなかった.つまり,文脈「男の子」だけでなく文脈「火曜日生まれ」という必要な文脈全てを問題解決に使用することは,数学教師を目指す大学生ですら困難であるといえる.この結果は,今後の教師教育の強化の必要性の証左になり得るといえる.