主催: 一般社団法人 日本科学教育学会
会議名: 日本科学教育学会第46回年会
回次: 46
開催地: 愛知教育大学
開催日: 2022/09/16 - 2022/09/18
平成29年に告示され令和3年より全面実施された中学校学習指導要領では,確率の扱いが変更され,経験的確率が第1学年で,理論的確率が第2学年で扱われることとなった.しかし,確率を2学年にわたって指導することについての合理的な説明はなく,先行する確率教育研究の成果がどのように反映されているかも明らかではない.そこで本稿では,確率教育研究の視点から現在の中学校学習指導要領における確率の指導について分析した.確率教育研究の知見を整理すると,経験的確率と理論的確率は同時かつ相互に指導すべきであり,両者の関連付けは双方向の活動として理解することができる.また,両者の確率はいずれも真の確率の見積もりでしかなく,関連付けもまた真の確率を推定するためになされるものと理解できる.これらを視点として中学校学習指導要領解説と中学校数学科教科書を分析した結果,いずれの知見も部分的にしか反映できていなかった.