日本科学教育学会年会論文集
Online ISSN : 2433-2925
Print ISSN : 2186-3628
ISSN-L : 0913-4476
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論文集
数学教育研究における装置とは何か
回折的方法論の視座から
*中川 裕之和田 信哉影山 和也上ヶ谷 友佑
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抄録

本研究は,人と物(e.g. ICT)との新たな関係とその変化を捉えるために,人間以外の主体性を認め,人間も含めた(観察者も含まれる)もつれ合った関係性の変化を学習とみなす回折的方法論に注目する.しかし,回折的方法論に基づいた数学教育研究では,具体的な分析法の開発がなされていない.そこで本稿は,回折的分析法の開発に向けて,数学教育研究における装置をどのように解釈すればよいかについて議論する.数学教育研究における装置には,差異を生じさせて境界をつくり出す数学的ディスコースが挙げられるので,言葉,視覚的媒介物(特に数学的記号表現),ナラティブ,ルーティンがその候補になる.また,物理的な装置としては,黒板やスクリーン,ICT等が含まれると考えられる.前もって観察したい概念が内在化したこれらの装置によって現象が切り取られ,観察者も含めた内的作用の先に新たな知見を得ることができるであろう.

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