日本科学教育学会年会論文集
Online ISSN : 2433-2925
Print ISSN : 2186-3628
ISSN-L : 0913-4476
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論文集
2つのパフォーマンス評価による質的分析からみた生物学上の誤概念保持の様相について
-中学校第1学年「生命・地球」領域における科学的生物概念と誤概念を事例として-
*名倉 昌巳
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抄録

生物学上の知見が社会に発信されるとき,加工され擬人化されて解釈される傾向にある.例えば,ダーウィン進化論は社会進化論として曲解され,社会変革の論拠にされることがある.すなわち,遺伝子診断が可能となった現在,劣った遺伝子は淘汰すべきとする優生思想の一端が垣間見える.過去の学校教育では,生物学上の誤概念の払拭が困難であることが多く指摘されてきた.つまり,学校教育上の科学的生物概念の獲得の困難さが,優生思想や社会進化論の流布の一因と推論される.今後,生物学上の誤概念が科学的概念へ転換し得る指導や評価の開発が急務となる.本研究では,中学生によるパフォーマンス課題の記述内容を素朴進化理論の枠組みから分析し,科学的生物概念の形成と誤概念への対処を検討することを目的とした.「生命」領域から「地球」領域までの継続的な質的分析及び質問紙調査から,根強く保持されやすい誤概念を払拭する手立てが示唆された。

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