日本科学教育学会年会論文集
Online ISSN : 2433-2925
Print ISSN : 2186-3628
ISSN-L : 0913-4476
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論文集
仮説設定能力の育成に対する「仮説」と「予想」の明確な区別の必要性
-A.E.Lawsonの仮説演繹的推論における仮説観に基づく考察-
*小林 和雄
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抄録

理科授業において、予想や仮説の設定を伴うような探究的な学習の充実が重要であるとされている。しかしながら、様々な仮説観があり、予想と仮説が混同されていることが多く、予想と仮説の明確な区別が曖昧になっている。Anton.E.Lawsonらの仮説演繹的推論(Hypothetico-Deductive Reasoning)における仮説観に基づけば、予想と仮説は明確に区別されなければならない。何故なら、予想と仮説の区別が曖昧な状況では、Anton.E.Lawsonらの仮説演繹的推論の正確な活用が促進されず、科学的な推論力や仮説設定能力の育成が阻害されるからである。特に「なぜ」「どうして」等の自然の事物・現象が生起する原因やしくみを問う「因果の問い」の探究では、仮説は「理論説明仮説」であり、実験結果の予想と仮説は明確に区別される必要がある。

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