抄録
本研究では,インターネットモニター調査(有効回答数: n=1599)によって,災害時の避難に関する備えを促進させるための要因を明らかにし,今後,どのような防災教育が効果的であるかについて考察を行った.避難に関して何らかの備えをしていたのは63.0%であり,地域別には大きな違いが見られなかったが,年齢別では具体的な備えについて違いが見られた.具体的な備えの10項目を得点化して重回帰分析を行ったところ,年齢,被災経験,ハザードマップ認知度,災害切迫度,地域交流度の5つの変数について統計的に有意な関連があることがわかった.特にハザードマップ認知度の標準化係数が高く,「地図などで災害時の地域を理解する実践」を基礎として,「備える」「行動する」実践を重点的に行うことで効果的な防災教育が実施できることが考えられる.