主催: 一般社団法人 日本科学教育学会
会議名: 日本科学教育学会第48回年会
回次: 48
開催地: 函館工業高等専門学校
開催日: 2024/09/13 - 2024/09/15
科学教育の観点から誤情報・偽情報にまつわる問題を整理する.科学的に正しくない知識を扱うという点で,誤概念研究や概念変化研究の知見を援用する.最初に情動的な側面に注目する.概念変化研究では学習者の情動的な反応を扱うが,誤情報・偽情報についても同じアプローチを利用できる.しかし,情報提供者について扱わなければならないのは,誤情報・偽情報に特有な問題である.それに続いて,認知的な側面に注目する.発表者の多くが科学性や信頼性の判断について論じているが,その判断を適切に行うことができることと,その判断が必要な場面で自発的に行われることとは別である.情動的な側面での議論を踏まえると,必要な場面で科学性・信頼性の判断が呼び出されるのは難しく,誤情報・偽情報の問題が認知的な問題として扱いきれないことが示唆される.ここから,これまでの科学教育における実験というものの理解の不十分さについて考察する.