1989 年 3 巻 6 号 p. 29-32
高等学校への進学率が90%を超えたころからの大きな教育問題に、基礎概念を理解しないいまま入学した生徒、いわゆるスロー・ラーナーの問題がある。この問題について、いろいろと研究報告や実践報告があるが、今日もなお続いている問題である。今年の3月に新学習指導要領が示されたが、高等学校数学科のねらいの一つとして、「基礎的・基本的な内容の徹底」がある。ここでは、このような生徒の実際の一部を示し、彼らの学習意欲が高校に入学して、果たして高められているか。また、学習意欲を阻害する要因を述べて、それを高めるための一つの方策などを提案したい。